(大正三年八月の雑誌)

(前略)寄席にはに組の頭で長左衛門の出した『山二亭』(横山町二丁目の鳶頭だから山二長左衛門)と林家と云ふのが有って、山二亭で円朝が「大道具正本噺』と云ふ招牌(かんばん)を出し、大入を占めて林家では柳橋(後の柳桜)が「九州吹戻」と云ふ、十八番の人情噺で客止を為ると云ふ有様、何れも昼席であるから、夏季が一年中の書入で有った。