元柳河岸

米沢町三丁目の東、大川沿岸の地にして両国橋より元柳橋に至る間を称す。東京市水道部両国用材置場あり。又橋際に内国通運株式会社持、下総地方行客船通運丸発着所及元柳橋との間に大川筋客船発着所並に共同物揚所として使用せらる河岸の名は元柳橋に対しての呼称なり。

 

元両国

元柳橋の北、元柳河岸の辺を元両国と称す。享保十三年八月八日、両国橋流失せるを以て修繕中この河岸より本所尾上町に仮橋を架したり。本橋は工事中、再三杭を流され、延享元年五月に及びて、漸く落成したれば仮橋を撤して旧位置に復したり。其の間十六ヶ年を費やしぬ。世人仮橋に馴れて、其の地を元両国としたるより後人は両国の元地と思惟し、こヽに惑を醸す基となりぬ。元両国の非なることは総鹿子に之を難じたり。難波橋を元柳橋と改称せるも他ならざる也。

 

新柳河岸

新柳町の東、大川沿岸の地なり。両国橋の袂より神田川の落口に至る、一号地は消防第一分署管内第二十一水管配置所として使用せられ、二号地に寄席新柳亭あり。七、八、十号地は大川筋客船発着所なり。